ビジネスに教養が必要になる – 企業における文化人類学の活用 –

文化人類学という学問をご存知でしょうか。

ある組織や集団に入り込みフィールドワークを通じて、その組織や集団の価値観・仕組み・ルールなどを体系的に研究する学問です。

もともと文化人類学は、欧米人が「未開」の民族を観察し記述するところから始まりました。無知で後発人類と考えられていた彼等には独自に発達した高度な知恵と社会システムがあり、欧米とはまったく異なる方法で社会が機能している、ということを発見したのです。

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 文化人類学の特徴は、一見しただけではわからない組織・集団の仕組みを、内側から客観的に観察して読み解いていくことで深く理解する点にあります。

 

非常に多くの民族・宗教などの研究が行われてきましたが、この学問はビジネスにおいては「使えない」趣味の延長線上にあるような学問だと思われがちです。

しかし、本来はビジネスにおけるクライアント理解・自社理解・自部署理解にも役立つ組織の捉え方を提供してくれる学問であり、アメリカの企業では文化人類学的な視点を活用したマーケティング手法も行われています。

 

keiei.proweb.jp

 

リンクの事例では、インテルの研究員が文化人類学的なマーケティング調査を行い、13の特許を獲得し、最終的にはヴァイス・プレジデントとして登用された事例が紹介されています。彼女は、インテルのテクノロジーを売るためのマーケティングをしたのではなく、人間社会に求められるテクノロジーのあり方をターゲット属性へのフィールドワークから描いたのです。

 

様々なテクノロジーが発達したとしても、そこに意味づけを行い利用するのは人間です。その人間がどのような組織・集団に属していて、どのような価値観とルールで意思決定をしているのか。これらを把握するには、購買履歴等のデータだけでは足りません。彼らがどのような言動をし、どのような価値観や規範を持っているのかを普段の生活の観察から炙り出していくことが重要なのです。

マーケティングのターゲットとなる属性がどのような商品やサービスに対してどのような意味づけを行い、消費するのか。これを文脈で捉える為には、文化人類学が蓄積してきた人間の”意思決定の背景”の膨大なサンプルやその手法自体が非常に有用になります。

 

新たなテクノロジーを、文化人類学のような教養を用いて活用する。

こうしたマーケティングを実践できる企業やビジネスメーカーがビジネスの将来を作っていくのではないでしょうか。