つらいときに読む本 3選

誰にでもつらいときがあります。

そうであるにも関わらず、そのときをどうやり過ごすかはなかなか共有されないものです。わたしはいつも読書で乗り切るので、どこかの誰かの役に立てればいいなと思い、「つらいときに読む本」としておすすめしたい3選をご紹介します。

 

①『さよなら私』みうらじゅん

さよなら私 (角川文庫)

さよなら私 (角川文庫)

 

 

みうらじゅんさんが独特な視点で自我や人生を説いている一冊です。

いつもの調子で適当なことを書いているわけではなく、仏教の考えが取り入れられており、意外にも深みのあるお言葉をいただけます(さすがは仏像マニア)。

つらいときはなかなか本を読む気力も起きないですが、みうらじゅんさんのポップな語り口でとても読みやすいです。

書籍の紹介ではできるだけ引用は避けたいのですが、世間の「みうらじゅん」イメージで避けられてしまうのは悔しいので、導入部分を引用して掲載します。

あなたの脳はあなたの今の限界を知り尽くしています。才能ではなく、才脳。

だから、あなたが才脳以上の望みを抱くと、〝ちょっとそれは無理じゃないかなあ〟と、優しく問いかけてきます。頭ごなしに言うとあなたがキレて、とんでもないことをし出すかもしれないからです。

〝いや、完璧に無理だと言ってんじゃなくて、急には無理だってことさ〟

脳も必死の説得です。

そこで出された折衷案が、「徐々に」。あきらめないで続けていると、いつか変わるかもです。

それが退屈と感じる日もあるでしょう。たいへんだと気づくときもくるでしょう。でも、やる。これが変わりたいと思う人の生き方です。

いいこともあれば、よくないこともある。

始めがあれば、終わりもある。

そもそもは何もないところから生まれ、何もないところに帰っていくだけのこと。

そんな変えようもない真理を何度も脳に言い聞かせ、生きるってあんがい楽しいかもって、逆に説得しようではありませんか。

 徐々に諦めずにやるのが変わりたい人の生き方だ、と。深みがあります。

 

「自分とは何か」「人生とは何か」

仏教の入門書とも言える一冊を是非読んでみてください。

 

②『調理場という戦場ー「コート・ドール」』斉須政雄

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)

 

 

著者の斉須政雄さんは白金のフランス料理店コート・ドールのシェフ。

彼が23歳で渡仏し、一流のシェフになるまでの日々を描いた一冊です。この物語からは斉須さんが厳しい修行の日々から体得した人生に対するストイックな姿勢が滲み出ます。

私は体育会系のストイックさが苦手です。なぜなら、そこには根拠がなく説得力がないからです。

ですが、斉須さんのストイックさには猛烈な説得力があります。彼から学ぶストイックさはどんなにつらい日々も身になることを教えてくれるはずです。

 

15年前になりますが同タイトルでほぼ日刊イトイ新聞でのコラムが連載されていました。

気軽にこちらから読んでみても良いと思います。

ほぼ日刊イトイ新聞 - 調理場という戦場。

 

③『君たちはどう生きるか』吉野源三郎

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

 

 

 本書は戦前の1937年に出版された倫理小説です。

15歳のコペル君が日常で経験した日常の出来事を叔父さんに話し、のちに叔父さんがコペル君への手紙でその出来事の捉え方を示唆していく、という構成になっています。

叔父さんからコペル君への手紙は、戦前に書かれた文章とは思えないほど先進的で、社会の本質を捉えた解説と言えます。身近な人間関係から社会の成り立ちまでテーマは多岐に渡ります。

現代に暮らす私たちにとっても非常に示唆的で気づきを与えてくれる一冊です。

また、叔父さんとのやりとりを通して15歳のコペル君が「どう生きるか」を見出していく姿に勇気を貰えます。

 

最近、羽賀翔一さんのイラストで漫画版が出版されました。こちらを試してみても良いかもしれません。

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

 

 

時間がない方は最所あさみさんが書いた書評がとてもおもしろいので読んでみていただけたらと思います。

 

ご紹介した三冊はそれぞれスタンスが全く異なりますが、それぞれの本から”人生の見方は様々であり物事は捉えようである”ということに気づかせてもらいました。

 

悩ましいこと、つらいことは尽きませんが、それらと付き合い楽しむ気持ちにさせてくれる三冊です。